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イオン注入装置

【2026年最新】イオン注入装置とは? 設備投資のポイント・おすすめメーカーをご紹介

イオン注入装置とは

スマートフォン、パソコンなどの電子デバイスが急速な成長を遂げている背景にあるのは、半導体技術の大幅な向上が要因といえるでしょう。ネットワークを用いたビジネスは今後も大きく成長していくことが予想されます。

イオン注入は、半導体や各種材料の表面・表層に加速したイオン(ドーパントや不活性種)を打ち込み、電気的・材料特性を所望に制御する技術です。半導体製造ではシリコンやSiCなどの半導体基板にドーパント(B、P、As、Al 等)を導入するドーピング工程として用いられます。一方で、金属やセラミックスへの表面改質(硬度・耐食性・離型性の向上など)にも応用されますが、装置仕様・プロセス条件は半導体用途と異なります。

イオン注入では注入量(ドーズ量)が調整できるため、機能的な製品を製造するには欠かせません。業界では主に、半導体製造時にシリコンウエハにイオンを注入する場合や、金属の表面改質に用いられるのが一般的です。

そこで、本記事ではイオン注入装置の原理・特徴やおすすめするメーカーを紹介します。また、設備投資する上で知っておきたいポイントもあわせて解説します。

目次

最近の更新内容

2026/2/27更新 コンテンツの一部修正と追加

イオン注入装置とは?

イオン注入装置とは

イオン注入とは加速したイオン(不純物=ドーパント等)を基板表層に精密に打ち込むことです。「イオン注入装置」を用いれば対象物の電気的特性や材料特性を変え、新たな機能が付与されます。

イオン注入では注入量(ドーズ量)が調整できるため、機能的な製品を製造するには欠かせません。業界では主に、半導体製造時にシリコンウエハにイオンを注入する場合や、金属の表面改質に用いられるのが一般的です。

イオン注入装置の原理

イオン注入装置の原理

半導体製造では、フォトリソグラフィで定義した領域に選択的にイオン注入をおこないます。純粋なシリコンは導電性が低いため、ドーパント導入により所望の電気的特性を付与します。注入により一時的に結晶欠陥が生じますが、その後の熱処理(アニール)で欠陥を回復し、ドーパントを電気的に活性化します。

半導体には「p型」「n型」があり、多数キャリア(p型=正孔、n型=電子)が異なります。p型半導体は、主にホウ素(化学式:B)、アルミニウム(化学式:Al)、ガリウム(化学式:Ga)などを注入して形成します。p型半導体を使った製品には、トランジスタ・発光ダイオード・太陽光パネルのような電子デバイスが挙げられます。

一方、n型半導体はアンチモン(化学式:Sb)、リン(化学式:P)、ヒ素(化学式:As)などを注入して形成します。抵抗値やしきい値電圧の調整など、デバイス特性の微細な制御に用いられます。

構造は? イオン注入装置の構成要素

イオン注入装置の構造

さまざまな種類のイオン注入装置が各メーカーより販売されていますが、基本的な構造や原理は同じです。ここでは、基本的な構造について触れていきます。

イオンソース(イオン源)

「イオンソース」とは、対象物の表面に打ち込む「イオン(不純物)」を作り出す部分です。フィラメントを電気加熱して発生した熱電子と原料ガスを衝突させて、イオンを発生させます。フリーマン型とバーナス型があり、現在では高い効果を得られるバーナス型が一般的です。BF3(B)、PH3(P)、AsH3(As)などのガスや固体ソースが用いられ、近年はフィラメント寿命延長や低メタルコンタミ化、立ち上げ時間短縮の改良が進んでいます。

質量分離部

「質量分離部」は、発生したイオンの中から必要なイオンを選び出す工程です。イオン化した元素には、複数の異なる質量を持つイオンが存在するケースがあります。イオンに電場・磁場をかけると曲がる性質を利用し、質量の異なるイオンを選別できるようになります。多価イオンを用いることで実効エネルギーの拡張も可能です。

イオン加速器

イオン化された粒子を電場・磁場を使ってエネルギーを与えて加速させる工程が「イオン加速器」です。速度をもったイオンは運動エネルギーなどが非常に高くなり、対象物の表面に埋め込むことが可能です。

半導体業界では、シリコンなどの半導体基板にイオンを所望の深さまで導入するため、用途に応じて数keV~数百keV(場合によりMeV級)の加速器が使用されます。電子デバイスによってドーピングする量も異なり、用途に合わせて高電流の注入装置が必要です。

スキャンシステム(ビーム照射・注入部)

イオン加速器によって照射されたイオンビームは、スキャン(走査)システムにより密度と照射時間を制御して照射します。イオンビームは一定のパターンで照射されますが、隙間なく照射するにはスキャンシステムでイオンビームを調整する必要があります。

スキャンシステムは大きく分けてふたつで、ラスタースキャンとハイブリッドスキャンです。

ラスタースキャンは、イオンビームを上下左右に動かして照射する方式です。ステージを動かす必要がないため、構造は単純化できるメリットがあります。しかし、対象物が大きくなるとビームの均一性が悪くなるという問題点を抱えていました。

一方、ハイブリッドスキャンは、ビームとステージを動かしてビームを照射します。ラスタースキャンではできないような大型の対象物でも均一に照射可能です。2026年現在、300mmウエハの面内均一性や3D構造への対応要件が高まっており、ハイブリッドスキャンが主流になっています。

ウエハステージ

ウエハを固定し、適切な角度や位置でイオンが照射されるように制御します。温度管理や振動の抑制などの高度な制御機能を持っていることが特徴です。絶縁基板や膜に対しては荷電を中和するプラズマフラッドガン等の機構も重要です。

イオン注入装置の特徴・メリット

イオン注入装置の一般的なメリット

対象物の表面に不純物を注入する方法には、イオン注入のほかにも熱拡散法が挙げられます。しかし、イオン注入法には優れた特徴やメリットがあります。

精密な制御が可能

イオン注入装置は、注入するイオンの種類・濃度(ドーズ)・エネルギーを正確に制御します。対象物内に正確な深さでイオンを打ち込むことが可能です。必要な特性を層ごとに形成できるメリットがあります。

非接触プロセス

イオン注入は溶接・切削のような、力・熱を伴わないプロセスです。材料全体に大きな履歴をかけずに表面の改質がおこなえます。熱に敏感な材料でも、精密な処理が可能です(欠陥は後工程のアニールで回復)。

幅広い材料に適用可能

イオン注入と聞くと、半導体分野ばかり思い浮かべる方がほとんどです。しかし、イオン注入技術は半導体だけでなく、金属やセラミックなどの絶縁体など多くの材料に活用されています。

どのようなタイプがあるのか? イオン注入装置の種類とそれぞれのメリット

イオン注入装置の種類とそれぞれのメリット

目的や用途に合わせて、イオン注入装置が各メーカーより製造・販売されています。イオン注入装置は大きく分けて3種類です。各装置の特徴や得意分野を紹介します。

高電流イオン注入装置

「高電流イオン注入装置」は、高電流イオンビームを発生できるように設計された装置です。イオンビームの電流は数~数十ミリアンペア、発生させられるエネルギーは数~200キロ電子ボルト程度のスペックを持っています。

高いエネルギーをイオンに与えるため、ドーズ量も1014~1016 ions/cm²と非常に多いことが特徴です。とくに、半導体分野で高濃度のイオン注入が必要な場合に用いられます。

中電流イオン注入装置

低~中程度のドーズを高精度に注入するときに用いられるのが「中電流イオン注入装置」です。イオンビームの電流は数十~数百マイクロアンペア、エネルギーは数十~数百キロ電子ボルト(keV)の範囲でイオンを加速します。

ドーズ量は1012~1014 ions/cm²程度です。汎用性が高く、低線量ドーピングが求められるトランジスタやダイオードなどのディスクリートデバイス製造で用いられています。

高エネルギーイオン注入装置

金属の深い領域へイオン注入をおこなう装置を「高エネルギーイオン注入装置」といいます。高エネルギーを確保するために、大規模な加速機構が備わっていることが特徴です。イオンビームの電流は数~数百マイクロアンペア、エネルギーは数百キロ電子ボルトで2価以上の多価イオンを用いれば最大メガ電子ボルトまでイオンを加速できます。

高エネルギーイオン注入装置はSOI技術(Silicon on Insulator)で、深層に絶縁層を形成することを目的として盛んに使用されています。くわえて、スマートフォンやパソコンなどのパワーデバイスの製造にも有効です。高電圧を取り扱うパワーデバイスではデバイスの深部にドーピングを行う必要があり、高エネルギーイオン注入装置が使用されます。

イオン注入装置に続く次世代の技術|メリットについて

イオン注入装置に続く次世代の技術

高いスループットや、素子の微細化・ウエハの大型化・高機能化のために次世代の注入技術も注目されています。

プラズマドーピング装置

プラズマによって対象物の表面に不純物を打ち込む方法が「プラズマドーピング」です。真空チャンバー内に不純物ガスを充満させ高周波電力を流して、プラズマ(不純物プラズマ)を発生させて注入します。

プラズマドーピングの特徴は、大掛かりな真空チャンバーや加速器が必要ないことです。装置全体を簡単に構成でき、コストを低く抑えられる可能性があります。

また、プラズマでドーピングをおこなうため、対象物の側面にもドーピングが可能です。立体的なトランジスタ構造をしている3次元素子などの新しいデバイス構造にも、対応できる可能性があります。

レーザードーピング装置

「レーザードーピング装置」は減圧チャンバー内に不純物ガスを充満後、レーザー光を照射してシリコンウエハ表面を溶かしてドーピングをおこなう装置です。高い真空度が必要がなく、既存の設備や技術の組み合わせで実現できるメリットがあります。さまざまな課題がありますが、目的を限定して実用化されています。

用途は? イオン注入装置の使い道

イオン注入装置の使用用途

イオン注入装置は半導体以外にも金属業界などでも有効活用されていますが、供給の大半は半導体業界です。イオン注入と聞けば、半導体製造を思い浮かべる方も少なくありません。イオン注入装置は、現在の半導体業界に欠かせない装置といえます。

  • ロジック/メモリ:微細なチャネル形成や浅接合のための低エネルギー・高精度注入が中心。
  • パワー半導体:SiCではAl(p型)、P(n型)注入と高温アニールが鍵。GaNではアイソレーション注入(N/He 等)の利用が一般的です。

金属分野

イオン注入法の特徴を活かし、金属表層の機械的特性、化学的特性、電気的特性などの改質がおこなわれています。硬度・耐腐食性・離型性の向上等の機能を得られ、母材寸法の変更がなく処理できるのが大きなメリットでしょう。

イオン注入装置市場の動向

イオン注入装置の市場動向

多くの調査メーカーのレポートによれば、スマートフォンやIoTデバイスなどの半導体業界が拡大し続けているため、イオン注入装置の市場は今後も成長を続けると推測されています。

また、新興市場であるパワーエレクトロニクスやMEMS(微小電気機械システム)、先端材料など新たな市場も拡大しているようです。

【2026年最新情報】進化するイオン注入技術の最前線
  • 次世代パワー半導体への対応
    脱炭素の潮流でSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)の量産化が加速。これらの材料は損傷が残りやすく、ウエハを高温に保持しながら注入する「高温注入」や高温アニールの最適化が重要です。SiCは150mm→200mmへの移行が進み、均一性・スループット要件が上がっています。
  • 3次元構造デバイスへの応用
    FinFETやGAA(Gate-All-Around)などの3D構造に対し、狙った場所に均一に注入するための角度(チルト/ツイスト)制御やチャネリング抑制、さらには側壁ドーピングに有利なプラズマドーピング(PLAD)の活用が広がっています。
  • AI・機械学習の活用
    装置ログやセンサー群から最適条件を自動同定したり、異常予兆検知でダウンタイムを削減するなど、インテリジェント化が進展。実運用のCoO(Cost of Ownership)低減に直結しています。
  • 投資動向の二極化
    AI/データセンター向け先端ロジック・メモリの300mm投資が堅調な一方、パワー/アナログ中心の200mmライン投資も底堅く、注入工程の装置需要は幅広い世代で継続しています。

選び方は? イオン注入装置選定の際の比較ポイント

イオン注入装置の比較ポイント

イオン注入装置を導入する上で、考慮したい項目は製造品質とスループットです。装置が非常に高額になるため、目的に応じた設備選定が成功の秘訣といえるでしょう。ここでは、イオン注入装置選定のポイントを紹介します。

加速エネルギー(keV/MeV)

ドーピング時にイオンの打ち込み深さを規定するのが加速エネルギーです。高いエネルギーほど深部へ導入できます。

一方で、電極の汚れや部品の劣化などでエネルギー安定性に影響が出る場合があります。目標レンジ(keV/MeV)での安定度と再現性を必ず評価しましょう。

ビーム角度

ビーム角度(チルト/ツイスト)が変動すると、注入深さやドーピングの均一性が変わります。とくに、シリコンウエハ表面の微細構造に対して特定の領域にイオンが過剰または不足して注入され、デバイスの電気的特性にばらつきが生じます。チャネリング抑制(スクリーン酸化膜、事前アモルファス化など)の有無も確認ポイントです。

イオン源

イオン注入装置で用いられるイオン源には、一般的にフリーマン型バーナス型などがあります。両者の違いはフィラメントの位置で、フリーマン型はアークチャンバ内、バーナス型はアークチャンバの端部です。

最近ではフィラメントの高寿命化を狙い、フィラメントがプラズマにさらされないタイプや、イオン発生効率の改善、立ち上げ時間の短縮などが研究・開発されています。金属コンタミの指標や質量分離の純度も、安定量産には重要です。

スループット

スループットは生産性を向上させる上で非常に重要な因子です。スループットが低い場合、製造効率が下がり、コストが増大する可能性があります。

各メーカーで高スループットのイオン注入装置の開発がされています。たとえば、ビーム電流の大幅改良、イオン源の立ち上げ時間短縮、装置や部品の高寿命化、メンテナンス性の向上などです。カタログ値のWPHだけでなく、自社レシピ(イオン種×エネルギー×ドーズ×角度)での実効WPHと面内均一性で評価しましょう。

基板・自動化対応

対象ウエハ径(200/300mm、SiCは150/200mm)への対応、FOUP/SMIF、SECS/GEM300連携、荷電中和(絶縁膜・SiC向け)の有無など、量産適合性を確認します。

品質(クリーン性能)と信頼性

パーティクルや金属汚染の低減、トレースアビリティ、保守体制(国内CE/パーツ供給)、平均故障間隔(MTBF)/平均修理時間(MTTR)などを総合評価しましょう。

ワンポイントアドバイス

用途別!イオン注入装置選びのチェックポイント

  • 最先端ロジック・メモリ向け:
    極浅接合のため「低エネルギー・高精度」注入が必須。熱拡散を抑えるクライオ(低温)注入対応や、角度制御・チャネリング抑制性能を重視。
  • パワー半導体(SiC/GaN)向け:
    深部形成には「高エネルギー(場合によりMeV級)」が必要。材料損傷を抑える高温注入や高温アニールのプロセスウィンドウも選定の要。
  • CMOSイメージセンサー(CIS)向け:
    深部に分離層を形成する高エネルギー注入が有効。画質に直結する金属汚染の極小化と面内均一性を重視。

ワンポイントアドバイス

装置価格だけで判断は禁物!「TCO」で見るべき本当のコスト

イオン注入装置の導入では、初期の装置価格だけでなく、長期的な運用コストを含めたTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)で評価することが成功のカギです。

<TCOに含まれる主なコスト>

  • 消耗品コスト:イオン源フィラメントなど定期交換部品の寿命と価格。
  • メンテナンスコスト:部品交換の容易さや停止時間(ダウンタイム)。
  • 生産性(スループット):実効WPH。高いほどウエハあたりの製造コストが低下。
  • ユーティリティコスト:電力、冷却水、特殊ガスなどの消費量。

安価でも消耗が早くメンテ頻度が高い装置は、結果的にTCOが高くなる場合があります。自社の代表レシピでのデータ提示をメーカーに依頼しましょう。

イオン注入装置を製造・販売するおすすめメーカー

イオン注入装置を製造する代表的なメーカー

イオン注入装置は単純な原理でありながらも、豊富な知識がなければ製造できない装置です。ここでは、イオン注入装置を製造・販売するおすすめメーカーを紹介します。

アクセリス・テクノロジーズ(Axcelis Technologies)

「アクセリス・テクノロジーズ」は、米国に本社を置く半導体チップの製造に使用されるイオン注入装置などの設計・製造をおこなうメーカーです。

あらゆる用途に対応するために、大電流・中電流・高エネルギーのイオン注入装置を取り扱っています。また、設備に加えて中古機・スペアパーツ販売やメンテナンスサービスなど、幅広いサービスが特徴です。

同社が提供するフラッグシップシリーズ「ピュリオン」は、共通プラットフォームをベースに多彩なニーズに対応できる構成です。高いスループットが特徴です。

アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)

米国に本社を置く「アプライド・マテリアルズ」は半導体製造装置の大手で、イオン注入装置も販売しています。ラインアップは、高電流・中電流・高エネルギーにくわえて、次世代の技術であるプラズマドーピング(PLAD)を利用する装置があります。

住友重機械イオンテクノロジー(Sumitomo Heavy Industries Ion Technology)

住友重機械工業は総合重機メーカーですが、グループ会社の住友重機械イオンテクノロジーは、国内の半導体製造用イオン注入装置のトップメーカーとしても有名です。最先端の半導体デバイス製造に対応した高電流・中電流・高エネルギーのイオン注入装置を製造・販売しています。

大量生産時に重宝する高電流イオン注入装置ではバッチ式高電流装置と枚葉式高電流装置をラインアップしています。高精度かつ高品質で、生産性の高いイオン注入技術を提供しています。

イオン注入装置を導入し、大きく成長する半導体業界に貢献

スマートフォンやパソコンなどの高性能電子デバイスは、われわれの生活になくてはならない存在となりました。今後も多くの半導体が、生み出されていくことが予想されます。イオン注入装置は非常に高額な設備ですが、ニーズを的確に把握し、技術を積み上げていけばビジネスにつながる可能性があるでしょう。迷ったら、まずは自社の代表レシピで評価指標を整理して、候補装置での実測データを取り比べるのがおすすめです。

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