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電子ビームマスク描画装置とは?おすすめメーカーや構造、選び方を解説 - JET-Robotics
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電子ビームマスク描画装置

電子ビームマスク描画装置とは?おすすめメーカーや構造、選び方を解説

電子ビームマスク描画装置アイキャッチ画像
スマホやタブレットなど、さまざまなコンピューターが急速な発展をして超小型化が進んでいます。

小型化の背景にあるのは「LSI(大規模集積回路)」の製造技術、とくにシリコンウエハ上に電子回路を描画する技術の進化があったからでしょう。

現在、次世代の技術「EUV」が登場してきていますが、さまざまな課題を抱えています。対して、従来技術である電子ビームマスク描画装置は、改良改善を繰り返して進化してきました。

本記事では、電子ビームマスク描画装置の原理や種類、選び方について詳しく触れていきます。さらに、電子ビームマスク描画装置を製造・販売するおすすめメーカーを比較して紹介しますので、ぜひ自社にあったものを探してみてください。

目次

電子ビームマスク描画装置とは

電子ビームマスク描画装置とは

LSI(大規模集積回路)を製造するには、限られた小さなスペース内に数ナノメートルの微細な電子回路パターンを作製しなくてはいけません。それを可能にするのが、電子ビームマスク描画装置です。

最先端のLSIの配線間隔は、90nm程度です。シリコンウエハ上に、トランジスタやダイオードなどを肉眼では確認できないほど敷き詰める必要があります。

電子ビームマスク描画装置では、エンジニアが設計したデータをシリコンウエハやマスクブランクスへ転写します。微細な回路パターンを描画するため、設備のわずかな振動でさえもLSIの品質に影響してきます。

電子ビームマスク描画装置の原理:フォトマスクの仕組み

電子ビームマスク描画装置の原理と仕組み

LSIに用いられる半導体は、導体(電気が流れる)と絶縁体(電気が流れない)の中間の性質を持ちます。自然界では、非常に珍しい人工的な物質です。

シリコンの単結晶体インゴットを切断して、シリコンウエハにした段階では流しません。しかし、ウエハ上に描画装置で電子回路パターンを描き、さまざま加工を施すことで半導体になります。

シリコンウエハ上に電子回路パターンを描くには、フォトマスクによる技術を用い、下記の流れによって成り立っています。

ウエハ前処理:酸化被膜

シリコンウエハの前処理では、表面に「酸化被膜(SiO2)」を形成させます。酸化皮膜とは金属と酸素が結合した状態です。

具体的な例では、鉄サビ(酸化鉄/赤サビ)や銅サビ(酸化銅/ろくしょう)と同じです。酸化皮膜は化学的に安定で電気を通さないため、電子回路間のリーク電流が流れるのを防ぐ役割です。

また、酸化被膜形成には、熱酸化・プラズマ化学気相蒸着・電気化学的陽極処理などがおこなわれます。800℃~1,200℃程度の高温でシリコンウエハを酸化処理しています。

露光

シリコンウエハ上に、均一にフォトレジスト(感光性樹脂)を塗布します。塗布にはスピンコートと呼ばれる手法をとり、素早く均一に塗布できることが特徴です。

フォトレジスト塗布後は、フォトマスク・レンズを通して紫外線を照射(露光)して回路を焼き付けます。紫外線照射の工程は電子ビーム描画装置による照射と、マスクアライナー(フォトリソグラフィー)による照射があります。

半導体業界では、回路間隔が数ナノメートルの微細なパターンを焼き付ける必要があるため、電子ビーム描画装置が用いられることがほとんどです。

現像

露光後はフォトレジストを取り除く「現像」工程が必要です。感光性樹脂にはポジレジスト型とネガレジスト型があり、現像方法が異なります。

ポジ型は感光した部分が除去でき、ネガ型は感光しなかった部分が除去されます。

一般的にポジ型は分解能は高いという特徴があり、最新の装置では線幅10nm以下のパターニングも可能です。一方、ネガ型は固い物が多く、レジストパターニング後の加工で有利な場合が多いです。

エッチング

ウエハ上の不要な酸化被膜などを「エッチング」で削り取る工程です。エッチングとは腐食液を用いて金属・ガラス・半導体の表面を削り取る加工法で、ウェットエッチングとドライエッチングに分けられます。

半導体ではドライエッチングが一般的で、腐食性ガスをプラズマ化させ、イオンで削り取る方法を採用しています。

また、エッチングによる加工は、ドリルやエンドミルなどの工具を使いません。バリやカエリ、加工時に発生する熱などによる反りや歪みが発生しないのがメリットです。

レジスト剥離

「レジスト剥離」は不要なレジストを除去する工程で、ドライプロセスとウェットプロセスがあります。半導体製造では、生産性が高いウェットプロセスが一般的です。

ウエットプロセスは、アルカリ水溶液・有機アミン系・ケトン系などの有機系溶剤の薬液を使用してレジストを除去します。生産性の高さとレジストに含まれる重金属などを除去できるのがメリットです。

一方、ドライタイプにはアッシング(灰化)と呼ばれるレジストを除去する工程があり、プラズマやオゾンで除去します。

4種類の電子ビームマスク描画装置を紹介

電子ビームマスク描画装置の種類

フォトレジストを用いて現像をおこなう技術を「ソリフラフィ」といいます。LSIのような微細な電子回路パターンを作製するには、電子ビームマスク描画装置は必要不可欠です。

電子ビーム描画装置

電子ビーム描画装置は電子回路パターンを描画する基本的な方法で、同装置を用いた現像技術を電子ビームソリフラフィと呼びます。

電子ビーム描画装置は、走査型電子顕微鏡(SEM:分解能がナノオーダーの電子顕微鏡)の技術が応用された装置です。電子銃から発射された電子ビームを微小な円形スポットに集束し、ステージの動きを制御して描画をおこないます。

高い解像度と精度をあわせ持つことが、電子ビーム描画装置の大きな特徴です。しかし、単位時間当たりの描画数(スループット)が少ないという弱点も持ち合わせています。

マルチビーム描画装置

多数の電子ビームを個別に制御して対象物に照射できる装置がマルチビーム描画装置で、従来技術の課題として取り上げられていたスループットを改善した装置です。

マルチビーム描画装置は、1本の電子ビームを照射する電子ビーム描画装置とは異なります。多数の電子ビームをアパーチャ(四角形や三角形などの形をしているパターンが加工されている薄板)やコントローラーで制御することが特徴です。

短時間で複雑な電子回路パターンを加工でき、単位時間当たりの加工時間を短縮できるメリットがあります。

可変成形ビーム描画装置

可変成形ビーム描画装置は、2層のアパーチャを使って回路パターンを形成する方式です。アパーチャ・レンズ・偏向器の条件を組み合わせて描画し、複雑な形状でも加工できることが特徴です。

アパーチャの図形によっては、繰り返しパターンや単純なパターンの描画が可能なのがメリットです。ただし、LSIごとに対応したマスクの枚数が必要になります。

生産量が少ない場合には、通常の電子ビーム描画装置のほうが優れている場合があります。

レーザー描画装置

フォトマスクを用いず、高精度な「レーザー描画装置」でレジストに直接パターニング可能な方式をレーザーソリグラフィといいます。

解像度は電子ビーム方式に比べて劣りますが、大面積にわたる描画が可能で量産に向いている方式です。描画スケールとスループットのバランスがいい描画装置といわれています。

レーザー描画装置は通常のレーザー描画に加えて、グレースケールリソグラフィである三次元構造を厚膜フォトレジストに作製可能です。

三次元構造の加工方法はさまざまで、マスクの開口率を変えて濃淡を出す方法・マスクを移動させて濃淡を出す方法・多重露光によって濃淡を出す方法が挙げられます。

電子ビームマスク描画装置の使用実績:LSIに必要不可欠なマスク技術

電子ビームマスク描画装置の導入事例

高密度化・微細化が進んでいるLSIの製造には、高いフォトマスク技術が必要です。各半導体メーカーは、高性能な装置を導入しています。

たとえば、世界最大規模の半導体メーカーである「Intel Corporation(インテル)」の関連会社でも、電子ビーム描画装置やマルチビーム描画装置を積極的に導入しているとのことです。

また、同じく業界最大手の「Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.(TSMC)」も、オーストラリアの電子ビーム電子ビームマスク描画装置メーカー「IMS Nano Fabricaation社」に投資するなどの動きを見せています。

導入に失敗しないための電子ビームマスク描画装置の選び方を解説

電子ビームマスク描画装置の選び方

電子ビームマスク描画装置は高性能な精密機器です。スペック差はあれど、コストは高額で気軽に購入できる装置ではありません。

そこで本章では、電子ビームマスク描画装置選定時に重視すべき選び方を解説します。

解像度

解像度は、電子ビームマスク描画装置がどれだけ細かいパターンを描画できるかを示す指標です。

電子のレジスト中での前方散乱と、レジストや基板からの後方散乱によって決まるといわれています。例えば、レジストや基盤を薄くしたり、加速電圧を高くしたりすると解像度は向上します。

また、解像度が向上する条件として波長の短さも挙げられます。一般的に波長が短いほど、描画の解像度が向上する傾向です。

現在の電子ビーム描画装置(ArFエキシマレーザー)の波長は193nmまで短くなり、電子回路パターンもナノオーダーで描画できるようになりました。

波長は加速電圧などの加工条件に影響を受けます。条件幅の広さにも注目して選定する必要がありそうです。

スループット

スループットは、装置が一定時間内に処理できるパターンの面積や量です。一般的にビームの本数は、描画スピードに影響します。

本数が多ければ効率的に広範囲を描画できるため、高いスループットが見込めるようになるでしょう。

半導体製造時に電子ビーム描画装置を用いた場合、微細な描画ができる反面、スループットに膨大な処理時間がかかることが課題となっています。そこで、装置製造メーカーでは、高いスループットが可能な装置を研究・開発しています。

次世代の技術を用いれば、従来よりも高速で半導体製造が可能ですが、まだ大きな導入コストが必要です。「現実的なコスト」を考慮すれば、高い精度と高いスループットを両立しているマルチビーム描画装置も視野に入ってくるでしょう。

装置の振動

電子回路パターンは、線形・回路間隔ともにナノオ-ダーなので、稼働時の振動は、描画の精度に影響を与えます。

電子ビームマスク描画装置のステージの重さは数十キロあるため、可動すれば大なり小なり振動は発生してしまいます。

各メーカーでさまざまな振動対策をおこなっているので、選定時にはメーカーに確認してください。

電子ビームマスク描画装置を製造・販売するおすすめメーカーを紹介

電子ビームマスク描画装置のおすすめメーカー

電子ビームマスク描画装置は、高い技術力がなければ製造できない精密機器です。半導体とフォトマスクに対しての深い経験に基づいたノウハウが必要になるでしょう。

ここでは、電子ビームマスク描画装置を製造・販売するおすすめメーカーを紹介します。

IMS Nanofabrication(IMSナノファブリケーション)

「IMSナノファブリケーション」はオーストリアのウィーンに本社を置くマスク描画装置メーカーです。マルチビームマスクライティングツールの開発・製造、電子ビームリソグラフィ技術の研究・開発などをおこなっています。

IMSが力を入れているマスク描画装置は、マルチビーム方式。業界でマルチビーム描画装置を商業化している数少ないメーカーです。

IMSのマルチビーム描画装置は、通常の電子ビーム描画装置が1本のビームを使うのに対して26万本のビームで一気に描画します。従来技術と比較して高いスループットが特徴です。

株式会社ニューフレアテクノロジー

「ニューフレアテクノロジー」は、電子ビーム描画装置や半導体デバイスの検査装置の開発・製造をおこなっています。東芝機械株式会社の半導体装置事業を継承し、高速・高精度制御技術を搭載した装置が特徴です。

世界的にも高い技術が認められ、電子ビーム描画装置では世界シェア90%以上を誇っています。

ラインアップは、電子ビーム描画装置とマルチビーム描画装置の両方を製造・販売しています。とくに、マルチビーム描画装置「MBM-2000」は26万本の電子ビームを制御し、高いスループットを誇ります。

独自技術「PLDC(Pixel Level Dose Correction)」を採用し、複雑な形状でも高精度で描画可能です。

日本電子株式会社

「日本電子」は、理科学計測機器・半導体関連機器・産業機器・医用機器の製造・販売・開発をおこなっているメーカーです。電子顕微鏡で世界トップシェアを持ち、技術を応用して電子ビーム描画装置を手がけています。

電子ビーム描画装置では可変成形ビーム・スポットビーム方式を採用しています。高い精度と高いスループットを両立していることが特徴です。

加えて、省スペース、低消費電力も十分に考慮されているため、設置場所やランニングコストなどを総合的に考慮する場合に検討したいメーカーです。

株式会社エリオニクス

「エリオニクス」は電磁波に関する技術を応用した各種機器・システムの開発・研究・設備製造などをしている国内メーカーです。研究開発用から生産用まで幅広いスペックの電子ビーム描画装置を取り扱っています。

最新電子ビーム描画装置「ELS-BODENシリーズ」の特徴は、モジュールシステムを採用しています。加速電圧は用途に合わせて50〜150kVまで選べるほか、チャンバーサイズ・搬送機構・除振台を自由に組み合わせられます。

目的に合わせた電子ビーム描画装置を導入したい場合には、メーカーに確認してみましょう。

株式会社クレステック

東京八王子に本社を構える「クレステック」は、マーケットイン志向の電子線描画技術を専門としたナノテク企業です。多くの企業・大学・研究所などに電子ビーム描画装置を納入してきました。

描画装置の特徴は、レジスト内の電子線の前方散乱が少なく、より微細な加工が可能なことです。

加えて、デバイスメーカーとの共同特許が出願がされている「FSM(フィールドサイズモジュレーション)」技術にも注目です。フィールドサイズを超極微調整して、位置決め分解能0.0012nmを実現しています。

まとめ|電子ビームマスク描画装置の原理を理解し、LSI製造に特化した設備を導入しよう

ネットワークの世界は今後も大きく発展し、既存のLSIだけではなく、さらに高性能化された集積回路が開発されていくでしょう。

電子ビームマスク描画装置や次世代の技術は、デジタル技術業界に大きな革新をもたらしていくことが予想されます。

現状、次世代のソリグラフィ技術も活躍する機会も増えてきましたが、高額で各メーカーが導入するのはまだ先になるかもしれません。

十分に技術を確立した電子ビームマスク描画装置でも、LSI製造のために活躍を期待できます。

導入などでお困りでしたら以下からお気軽にご相談ください。

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