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分光器とは? 原理や活用事例、選び方をわかりやすく解説 - JET-Robotics
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分光器

分光器とは? 原理や活用事例、選び方をわかりやすく解説

分光器IC

研究や開発だけではなく、さまざまな業界で「結果に対しての理由」が強く求められます。分光器の分光分析は、そんな理由を提供してくれる、非破壊で物質の分析がおこなえる非常に優れた分析方法です。

しかし、原理や装置の特徴を知らなければ能力を最大限に引き出せません。分光器のような精密機器は、導入コストも高額です。新規で装置を購入する際には、どの装置を選定していいか悩むと思います。

本記事では分光器の原理や活用事例をわかりやすく解説します。分光器について初めて学ぶ方から、実際に選ぶ際の比較ポイントを知りたい方まで、広く情報をカバーしているので、ぜひご一読ください。

目次

分光器(Spectrometer)とは?

分光器とは

分光器は光を波として捉えて、波長ごとに分ける光学機器です。光や波の波長の強さを「電磁波スペクトル」といいます。分光器では測定対象の物質に特定の光を当てて、電磁波スペクトルを検出器で測定し、分析をおこないます。

分光器と類似した言葉に分光光度計がありますが、厳密には機能が異なります。分光器は「光の強度を相対的な測定をする装置」に対して、分光光度計は「光の強度を絶対値で測定して定量分析などをおこなう装置」です。しかし広義には、分光の技術を応用して製造された分光センサーや、実験室で使用する分光光度計などを「分光器」と呼んでいます。

最近では、検知器が内蔵されているコンパクトな分光器や、デジタルソリューションに対応した分光器が注目を集めています。

分光器の光の測定方法・分光分析の原理

分光器の測定方法・分光分析の原理

分光器は光の強度を測定しますが、どのようにして測定するのでしょうか。ここでは、分光器の原理を紹介しながら、光の測定方法について解説します。

分光とは

分光器では、光源の光をプリズムや回折格子などの分光素子によって光を分けることが可能です。分光器によって分けられた光を「分光」と呼びます。

光はさまざまな波長の光が混ざり合っています。例えば、太陽が白色に見えるのは、赤・青・緑・黄色などの波長の光が混ざり合った結果です。

各色の光は固有の波長を持ち、物質に当てることで特定の波長の光を吸収・反射・透過します。検出器で波長の光を測定し、物質の分析を可能にするのが分光分析です。

分光スペクトルとは

分光によって波長別に分けられた光の強さをグラフ化したものは「分光スペクトル」と呼ばれています。スペクトルとは、波長を成分ごとに分けて、大小を見やすくしたものです。分光スペクトルには、反射・透過・吸収スペクトルがあります。

構造と仕組み|分光器の基礎知識その1

分光器の構造と仕組み

分光器の主な役割はふたつで「光を分光すること」「光の波長を測定すること」です。各メーカーによってさまざまな特徴を持った分光器が販売されていますが、基本的な原理は一緒です。

分光器で分光した光を測定対象物質に当てて、透過・反射した波の波長を検出器で検知し、構成されている成分や量を調査します。光学系の分光器は、主にシングルビーム方式、ダブルビーム方式に分けられます。

分光器の構造

分光器はスリット・コリメーション・分光素子・検出器によって構成されます。

  • スリット
  • 光源の光が入射する溝。光量を調整することで、波長分解能が変わります。

  • コリメーション
  • ミラーやレンズによって、光の方向を平行光に整えます。

  • 分光素子
  • 光を波長ごとに分光します。使われる素材は、プリズムや回折格子です。

  • 検出器
  • 分光された光の強度を測定します。一般的にCCDやフォトダイオードが使われています。

光学系

分光器の光学系には多岐に渡る仕様があり、測定精度や導入コストに大きく影響します。より高性能な光学系を搭載した分光器は構造が複雑です。高性能で分析能力や測定精度が高くなり、コストが高くなります

シングルビーム(単光束)方式

分光器で分光された光をサンプルに照射し、透過光が検出器に入る方式で、現在の分光器の基本的な構造です。分光器をひとつしか持たないため、構造がシンプルで安価なのがメリットでしょう。

しかし、ドリフトと呼ばれる単位時間あたりの測定値のばらつきが生じやすいデメリットがあります。より正確な分析が求められる場合には不向きです。

ダブルビーム(複光束)方式

シングルビーム方式では装置自体の振動などのばらつきを含んだ測定結果になるため、ドリフトが発生します。ドリフトは分析結果をより複雑にし、意思決定を遅らせる要因になります。装置由来のばらつきを改善した構造が、ダブルビーム方式です。

ダブルビーム方式は分光器から出た光をビームスプリッターでふたつに分けます。分かれた光は、測定対象物質とリファレンスに照射。ブランクの測定結果とサンプルの測定結果を考慮して、より正確な測定結果が得られます。

シングルビーム方式と比較して、構造が複雑になるため装置自体のコストは上がります。より高い精度の測定結果を求める場合に必要な要素になるでしょう。

種類と用途|分光器の基礎知識その2

分光器の種類と用途

分光器は用途に合わせて多種多様な設備が販売されています。ここでは、分光器の種類と用途について紹介します。

紫外可視分光光度計(UV-Vis)

紫外可視分光光度計は、紫外線から可視光線領域までの光をサンプルに照射して、反射・透過した光を測定する分光器です。測定範囲が広いため、微量の物質でも検出可能なのが特徴です。装置のコストも低く、導入しやすいことがメリットです。

主な用途

紫外可視分光光度計を用いれば、溶液や固体の定量分析や特性評価ができます。飲料水や排水中の成分分析、食品中の添加物の定量分析、医薬品の品質評価など多くの分野で利用されています。

赤外分光光度計(IR分光光度計)

赤外分光光度計はサンプルに赤外線を照射し、反射・透過した光を測定する分光器です。赤外線分光光度計には分散型とフーリエ型があります。現在ではフーリエ型が一般的です。

赤外線は紫外線よりも波長が長く、光が持つエネルギーも低いという特徴があります。赤外線がサンプルに照射された場合、分子結合の伸縮運動や回転運動を促します。物質の化学構造によって分子運動に必要なエネルギーは異なりますが、物質に吸収された赤外線を調べれば、分子構造や化学結合の情報を分析可能です。

主な用途

赤外分光光度計での分析は、最小限のサンプルで迅速に定性あるいは定量情報を得られます。有機化合物や無機化合物などの定性・定量分析が可能です。食品、医薬品、環境科学など多岐にわたる分野で使用されています。

誘導結合プラズマ発光分光器(ICP-AES)

誘導結合プラズマ発光分光器(ICP-AES)は、アルゴンプラズマにガス化した試料を噴霧させて分析をおこないます。元素にエネルギーを与えることで、元素は励起・発光します。

発光した元素の色の違いから定性分析でき、発光の濃度からは定量分析が可能です。ガス成分・希ガス成分を除く全ての元素の分析ができるのが大きな特徴です。

誘導結合プラズマ発光分光器には、シーケンシャル型とマルチ型があります。シーケンシャル型は分解能が高く、金属をはじめとした材料分野に広く普及しています。マルチ型はシーケンシャル型と比較して分解能は劣りますが、広範囲の波長まで短時間で同時測定ができます。

主な用途

誘導結合プラズマ発光分光器は微量元素の検出を得意とし、水質検査や土壌分析に活用されています。また、金属材料や半導体の成分分析に積極的に利用され、製造業での品質管理や研究開発にも貢献しています。

原子吸光分光光度計(AAS)

原子吸光分光光度計(AAS)は、試料を高温で原子化させたあとにホローカソードランプを光源とした光を照射します。励起状態の原子は、特定の波長しか吸収されないことが知られています。原子吸光分光光度計ではホローカソードランプから出た輝線スペクトルを元素が吸収し、吸収スペクトルを測定する原理です。

原子吸光分光光度計のメリットは、試料中の元素の定量分析が可能なことです。元素に対応したランプを用意する必要がありますが、安いランニングコストが魅力でしょう。

主な用途

食品中のミネラル成分の定量分析に利用されています。例えば、牛乳中のカルシウムや鉄の測定です。そのほかにも、医薬品の不純物や微量成分の分析に使用され、製品の品質を確保するために重要な役割を担っています。

分光器の導入事例

分光器の導入事例

分光器の用途は非常に広く、さまざまな分析の場面で導入されています。特に、生活や健康に関わる分析では、国から分光分析を指定されることもあるほどです。

事例1:飲料水や排水中の有機汚濁物質の計測

環境悪化や健康被害に直結する河川・水・地下水環境を調査するために、分光器を用いて水質調査がおこなわれています。水質は人体や生態に直接影響を与えてしまうため、環境省からもマニュアルや指示が出ています。

各メーカーからは、水質分析に特化した分光光度計を取り扱っています。最近では、研究室で使用できるようなコンパクトな紫外可視分光光度計が主流です。

事例2:食品中の添加物(着色剤、保存料、酸化防止剤など)の定量分析

食品には禁止されている添加物が定められていて、検出するには分光器による分光分析が有効です。たとえば、食品や加工食品を長持ちさせる保存料は、食品衛生法で使用基準が定められています。保存料の含有率を調査するために、紫外可視分光光度計を用いるのが一般的です。

厚生省生活衛生局食品化学課が過去に報告した「食品中の食品添加物分析法」では「食品に含まれている多くの添加物の分析に分光光度計を用いる」と記されています。

事例3:医薬品の成分分析や純度確認

医薬品分野でも分光器を用いた分析が盛んにおこなわれています。分光器の種類にもよりますが、分光蛍光光度計で成分の定量分析、赤外分光光度計で構造分析が可能です。たとえば、エタノールの純度試験では紫外可視吸光度法を用いることと、医薬品の規格基準書である「日本薬局方」に記されています

分光器を活用するメリット

分光器を導入するメリット

分光器を活用することで迅速かつ高精度な分析が可能になり、意思決定を早めてきました。測定の容易さと測定精度の高さから、医療・食品業界など多くの場面で活躍しています。

微量の物質でも検出可能

分光器を用いた分析では、微量のサンプルの定量・定性分析が可能です。どんな波長であれ、物質は吸収する波長が決まっています。微量でも光を吸収すればスペクトルに変化が現れるため、検知が可能です。

多くの物質の分析が可能

分光分析はサンプルに分光を照射して、反射・透過した光を読み取る分析方法です。分析対象が気体・固体・液体問わず分析できます。分光器によっては測定できない物質もありますが、大抵の物質は分光器を用いれば分析が可能です。

高精度な計測が可能

分光器の種類により得意不得意はありますが、適した分光器を用いれば非常に高精度な計測が可能です。あらかじめ装置の特徴と測定したい物質の特徴を熟知しておけば、精度が高い計測ができるでしょう。

選び方は? 分光器の比較ポイント4点

分光器の選び方・比較ポイント

分光器選定のポイントは、測定サンプルに合わせて分光器を選ぶことです。目的を明確にして分光器を選ばないと、失敗する可能性があります。ここでは、分光器導入に対して注目したい要素について触れていきます。

波長範囲

分光器が検出できる幅を波長範囲といい、分光器選定では重要な要素です。光は紫外線・可視光・赤外線に分けられますが、物質が吸収する波長は決まっています。測定したい物質がどの領域の波長を吸収するのかを見極めて、対応する分光器を選んでください

サンプルの量

測定サンプルの量は測定精度に強く影響を及ぼすため、対応した分光器を選びたいものです。サンプルが十分に確保できる場合には、セル(キュベット)を用いて測定する分光器がおすすめです。

一方、DNA・RNA分析やタンパク質分析などのように極端にサンプルが少ない場合には、微量タイプの分光器を選定するとよいでしょう。

測定精度

導入コストをかければ高い精度で測定が可能ですが、費用をペイできません。必要に応じたスペックの分光器を選んでください。

たとえば、分光器の光学系では、シングルビームよりもダブルビーム、シングルモノクロよりもダブルモノクロを選ぶほうが精度が高い測定が期待できます。しかし、一般的に測定精度が高い装置は導入コストがかかります。状況に合わせて購入を検討してください。

デジタルソリューションへの対応有無

最近の分光器もデジタル化の流れで、測定結果をCSVファイルとPDFファイルで出力できるようになりました。自社や研究室のアウトプットに沿った出力ができる装置を選ぶといいでしょう。プレゼン資料作成や論文作成にも大きく貢献できます。

また、スマートフォンのカメラに装着して、簡単にスペクトルが測定できる小型の分光器も販売されています。現場で迅速な測定をする場合には非常に有効といえるでしょう。

分光器を製造するメーカー

分光器のメーカー

各メーカーが特徴を持った分光器を販売しているため、どのメーカーを選んだらいいか悩んでしまうものです。ここでは、分光器を製造・販売するおすすめメーカーを紹介します。

島津製作所(Shimadzu)

島津製作所は、1875年に創業された日本の科学機器メーカーです。分野は幅広く、分析計測機器・医用機器・航空機器などを取り扱っています。とくに、分光光度計の分野では非常に信頼が厚く、世界中の研究機関や企業から使用されています。

目的に応じた豊富なラインアップにも注目です。紫外可視近赤外分光光度計(UV-Vis-NIR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、分光蛍光光度計(RF)、ラマン分光光度計など、現場のニーズに応えられる分光器が充実しています。

Agilent Technology(アジレント・テクノロジー)

アジレント・テクノロジーは、業界最大手の米国の企業です。ライフサイエンス・診断・応用化学市場におけるリーダー的立ち位置といえます。日本法人は、東京の八王子市にあります。

高精度な計測機器や分析装置を提供し、研究開発から品質管理まで幅広い分野で利用されています。紫外可視分光光度計、赤外分光光度計、原子吸光分光光度計を主に取り扱い、生化学・環境分野や医薬品・化学業界に貢献しています。

日立ハイテクサイエンス(Hitachi High-Tech Science)

日立グループの日立ハイテクサイエンスは、計測機器や半導体製造装置などを提供する企業です。分光光度計などの分析装置において高い技術力を持ち、幅広い分野で活躍しています。

豊富なラインアップに加え、低迷光・低ノイズを可能とする回折格子を搭載していることが特徴です。また、ソフトウエアの観点からみてもユーザーから高い評価を得ています。

堀場製作所(HORIBA)

堀場製作所は、1945年に創業された京都を拠点とする計測機器メーカーです。自動車の排ガス計測機器や環境・プロセス計測機器などの計測機器を販売しています。培ってきたグレーティングの技術を生かし、小型で優れた光学特性を持つ分光器が特徴です。

日本分光(JASCO)

日本分光は、1958年に設立された分析機器メーカーです。光学機器や分光分析装置を中心に、研究開発や品質管理に求められる高精度な計測機器を取り扱っています。とくに、分光機器に関しては研究者・開発者の要望に応えた分光器を開発し、高い評価を得ています。

分光器と測定物質の特徴を理解して、ハイレベルな研究・開発を

変化していく時代の中で食品や医薬品だけでなく、さまざまな業界で高い品質が求められるようになりました。高品質を実現するためには「結果の理由付け」となる高い分析技術も必要になってくるでしょう。適切な分光器を選定し、ハイレベルな研究や開発をおこないたいものです。

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